安藤 川畑瓦工業が持つ強みは何でしょう。

川畑 今は自信を持って言えます。『職人』です。私たちは『誇り高き職人集団』と掲げています。私たちには、瓦工事を中心に毎年約250件の工事実績があります。どの工事も技術を要する手仕事で、1~2年で身に付くものではありません。そうした技術に加えて、先ほど申しました気持ちの良い挨拶やコミュニケーションができること。それが現在に求められる職人の姿ではないでしょうか。私が代表になってから人材教育に時間を費やし、近年は新卒社員の採用にも力を入れています。キャリアプランを設け、職人を育てて、安定して働ける環境を生み出すことに努力しています。

安藤 時代と共に求められる技術も変化するもの。変化を受け入れて柔軟に対応してきたのは見事です。

川畑 そもそも家を建てる際、最初に行うのが瓦工事です。日本の伝統的な工法である在来工法(木造軸組工法)は、土台木材の上に柱を立てて、柱と柱の間に筋交いと呼ぶ部材を斜めに入れて進めていきます。瓦の重みを加えることで、組み込まれた木材が固く食い込み、堅牢な骨格が完成する仕組みです。大地震の時テレビで倒壊した家屋を目にしたことがあると思いますが、あれは瓦の重みによるものではありません。古い住宅で耐震構造になっていない家が倒壊しています。瓦は強固な住宅を造る上で欠かせない部材なのです。一方、時代の変化につれて、軽量で耐久性のある瓦も登場しました。金属の屋根材も好まれています。どのような屋根材の工事でも対応できる技術を私たちは持っています。この地で半世紀以上仕事をさせていただけるのは、私たちの技術力を評価いただいている証拠だと考えています。お客様から一つでも多く「ありがとう」をいただけるよう、これからも努力していきたいですね。

安藤 今後の目標を聞かせてください。

川畑 屋根だけでなく、外壁のリフォームや塗装も行うようになりました。実は大工出身の職人もいて、屋内のリフォーム工事のお声がけをいただくことも増えてきました。近頃ではユニットバスの付け替え工事や、システムキッチンのご提案をさせていただく事もあるんです。また、技能資格を持つ社員も多く在籍します。お客様のどんな困りごとにも対応できる職人集団にするのが目標ですね。そして、それがすべて自社の社員、自社の職人であること。やはり目の届く範囲にいないと目標を共有することは難しいと思います。「明日、職人をよこして」と、職人を道具のように扱う会社は、残念ながら少なからず存在します。私はそうしたことが許せなかった。だから直接、お客様と仕事ができる体制を構築し、「ありがとう」をいただける会社にしたかった。今では、職人一人ひとりが名刺を持って工事前に挨拶しています。それくらい『誇り高き職人集団』として、堂々と自信を持って働いています。経営理念は「すべてはお客様の『ありがとう』のために」です。少子高齢化が進み、この業界は人材が不足しています。廃業する同業者も増えました。しかし、必要とされ続ける仕事でもあります。縮小市場でも生きる道を模索することは可能だと、私自身が体験してきました。「こんなに素晴らしい仕事があるんだ」と、次の世代に伝えていくことも、地域最大級の規模を持つ私たちの責任でしょう。若い方々に見ていただきたい。そして感じていただきたい。屋根上には心を打つ景色がありますから。

川畑博海
株式会社川畑瓦工業
代表取締役


1969年鹿児島県生まれ。高校卒業後に上京。専門学校を卒業後、金属屋根製品のトップメーカー、元旦ビューティ工業に就職し、東京支店販売促進課の営業として活躍する。1994年、帰省して川畑瓦工業に入社。2008年に代表取締役就任。好きな言葉は「行動こそ真実」。曲がったことが大嫌いな誠実な人柄と、厳しく温かい職人集団の頭として会社を牽引する。

株式会社川畑瓦工業
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