安藤 意識を高く持つことで新しい業態が生まれるわけですね。

園田 そうです。また、2009年11月には、私にとってひとつの転機ともなるお店『はくよ庵』をオープンしました。この店は、お世話になっている先輩の株式会社ハクヨプロデュースシステムの笠原さんからのお話で、豊川の旧家の一軒家を改築した今までにないお店になっています。
 このような取り組みが地元で広がっていく中で、2014年11月に『牛 月乃屋 ゆるり』、2015年1月に『牛 嵐山』の2店舗を事業承継というかたちで経営しています。地元で10年以上営業している焼肉屋のオーナーさんが、お店を閉めるとの話を聞き、ファンである私から、地元で愛されているこのお店をぜひ受け継がせて欲しいと話をしました。地元に根づいている文化を残す、そして作っていきたいとの思いから声を掛けさせていただき、受け継がせていただきました。今後も続けていきたいですね。

安藤 素晴らしいです。お店のレシピもそのまま受け継いでいるのでしょうか。

園田 昔の料理人は感覚なのです。それをレシピ化する、オペレーションを作り直すという、料理人の感覚を誰もが出来るようにしました。料理人のひとつまみを、ちゃんとコンマいくつまで量りの上に載せて数値化しました。変えたのはそれぐらいです。

安藤 誰が作っても同じ味にするためにですね。素材も地元の食材を使っているのですか。

園田 地産地消というわけではないですが、地元の食をブランディングしていきたいと考えています。2015年9月に『三河赤鶏おいでん』をオープンする際、地元の鶏屋さんに「《三河赤鶏》という名を使ってもいいですか?」と聞いたら、「どんどん使ってください。私たちもバックアップします」とおっしゃっていただけたことがすごく嬉しく、また素晴らしいかたちだなと思いました。そしてこの時、笠原さんから以前言われた「周りの人から応援されるような人間になれ」という言葉の意味が胸に沁みました。

安藤 地元から応援される人と企業、素晴らしいですね。

園田 この1年間で考え方が180度変わったと思います。今まではオペレーション重視でしたが、今は従業員と毎日話すようになりました。そして先日、社員の女の子に「私たちが笑顔じゃないとお客様を笑顔にできない」と言われたのですが、従業員を幸せにしないとお客様を幸せにすることが出来ない考え方がすっと入ってきました。以前は、自分の好きな洗練されたお店を作り、お客さんが入ればそれでいいと思い、社員の教育は後回しにしていました。しかし、今では従業員が変わっていく姿はこんなにもうれしいことなんだと思うようになりました。また、従業員から「仕事が楽しいです」と言われた時の喜びは言葉にできません。心が震えることなんて今までなかったのですが、人が変わって行く姿を目の当たりにし、それに感動を覚え、心が震えました。

安藤 従業員さんが変わることで、企業も成長すると思います。

園田 従業員は会社の財産。今は魅力のある人材を育成したいと考えています。また、誇りをもって働ける職場づくりを目指しています。まわりから、あのお店で働いているなんて素敵だねと言われる飲食店にしたいですね。

安藤 園田さんのお店で働くことが豊橋の方たちにとってステータスになるといいですね。最後に今後の展開を教えてください。

園田 これまで、ダイニングバーに始まり、焼肉店、もつ鍋屋、地元の鶏を使った鶏専門店、そして事業承継と、東三河という地域に向き合い、地方ならではの飲食店経営を展開してきました。地域に愛され長く続くお店作りは、東京や名古屋でのお店作りとは違います。そして、地方でそれが確立できているのは、GG INTERNATIONALの強みでもあります。今後は、東三河で成功したこのモデルを他の地方へもどんどん展開していきたいと考えています。

園田孝寛
有限会社 GG INTERNATIONAL
代表取締役


長野県生まれ。高校卒業後、大学進学のため豊橋市へ。飲食店での勤務経験をきっかけに、独立を志す。大学を卒業した1999年の10月、22歳にしてダイニングバー『GRIGRI』をオープン。現在東三河地区に13店舗を経営。

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